
「フリーバッグ」前半はネタバレなし、後半はありで感想書いてます。
アマゾンプライムの「フリーバック」は以前から気になってました。
少し前にシーズン2が同じく全6話、各30分の構成で出たばかりですよね。
新シーズンも評価が非常に高い!という記事も目にするので、エミー賞前に見ておきたいなと思って手を付けたのですが・・。(エミー賞ノミネートは7/16ですよ~!)
うわ~・・、
2話くらいまでは下品な下ネタオンパレードのダークコメディじゃないですか!
いかにもロンドンっぽいエッジの利いたやつ!
私は下ネタ結構好きなので慣れているというか、普通に笑っちゃうんですけど、そんな私でも若干引くようなエグい奴がバシバシ!
やっぱり「ア〇ル系」はヨーロッパっぽいなぁ・・。(以前フランスに住んでいた時、普通に女性週刊誌に特集組まれたりしてるのを見て驚いた記憶が・・)
それはさておき、アラフォー女の日常を皮肉るコメディとしても素直に面白いし、レベルも高いです。
カメラ目線で視聴者に直接語り掛け、彼女のシニカルな世界観に同調させる手法も上手い。テンポもいいので飽きずに見れます。
それに、主人公の設定が意外と新しい。
アラフォー女子の焦りを描く「ブリジッド・ジョーンズ」ほど可愛らしいヒロインでもないし、「エンライテンド」でローラ・ダーンが演じたスピリチュアル女のような勘違い馬鹿でもない。
むしろフリーバッグには知性も感じるし、キレのあるユーモアに、自身もネタにするような余裕もあって、独身女の焦りも感じられない。
性欲優先で適当に生きながら、とりあえず男も結構いる。(変なのばっかだけど)
まぁ、こういうアラフォーって実際、結構いそうですよね。(ん、いない?)
ところがですね、3話くらいから徐々にですが、彼女が途方もない喪失感の中でに半ば諦め状態で生きていることが分かってきます。
そこから最終話までに少しずつ彼女を取り巻く現実が明かされていくのですが、これが思いの外、重いのです・・。
突然亡くした親友に、残された希望のないカフェ、不幸から抜け出そうとしない姉に、自分の生活にしか関心のない父。
ニヤニヤしながら周囲を茶化し、彼女なりの抵抗で誤魔化しながら生き抜いてきたものの、それもどうやら限界点に達し・・。
そうした現実の一つ一つが悪化していく時、彼女はどんな行動に出るのか・・。
は、見てのお楽しみです~。
「フリーバッグ」登場人物とキャスト

製作、脚本、監督、主演をこなした才女、フィービー・ウェラー=ブリッジ。
正直、彼女の知性がフリーバッグから滲んできちゃってるのかどうかが微妙なんですよね。
そのせいで、この主人公を見ててもただの「クズ女」とか「ビッチ」とかいう印象を持てなかった気もするんですけど、本当はもっとダメ人間ていう設定なのかな・・。(ヤリ〇〇なのは確かだけど)
あとこれは私の個人的なものですけど、基本的に己の欲望に従って生きる人を見ると「逞しいなぁ・」・・と、感心してしまうからですかね。
人間、誰しも過ちを起こしてしまう時はあるしねぇ・・。(彼女のは確かに酷いけど)

父と暮らす代母役はイギリスの名女優、「ブロードチャーチ」のオリヴィア・コールマン!
まぁよくぞあそこまで嫌味な女をしゃーしゃーと演じられるものだわ~。大物!
フリーバッグとのタイマンには爆笑です!
これまでになかった現実的な切り口でアラフォー女の孤独を抉り取ってみせたドラマとして確かに見応えありました。
最終話は泣いちゃったしね。
下ネタが嫌いじゃない方にはお勧めです!
ブラックコメディで人生賛歌が流行ってる?
イギリスの感動ブラックコメディ「アフターライフ」に少し雰囲気似てますよね。
こちらは妻を亡くした男が喪失感と悲しみを埋めるために、ひたすら強烈なユーモアで他人をこき下ろし、毒を撒き散らしながら生きていく最低オヤジが主人公。
ところが、次第にふと出会った人々との交流から心を開き始め、少しずつ生きるためのヒントを得ていく、という涙なくては見れない感動ドラマでした。
フリーバッグも同じような路線でしょうかね。
最近、ちょっと流行ってますよね。ダークコメディ+人生賛歌の感動ドラマ!
同じアマゾンの「バリー」もちょっとそんな感じだったかな?
普通にやったらベタになりそうな内容を、強烈なダークコメディと絡めるとなぜかホロリとやられてしまう・・という絶妙なテクニックなんでしょうかね。
*ここからはネタバレありの感想です。
「フリーバッグ」のネタバレ感想
新しい感じがするのはたぶん
ただ、不思議なのがフリーバッグは自分のことをそんなに不幸な女と思っている節もないんですよね。
それに、「女として愛されたい」とか、「結婚したい」とかいう発言もない。
唯一あるのは、「誰かに体を求められたい!」という強烈な性欲と、それが満たされない故の孤独だけ。
異常に性欲が強くて、恋人との行為の後にオバマの映像みながら一人でやっちゃう・・とか日本人女性にはちょっと想像がつかない程なんですけど、そういう意味で彼女の精神は解放されてるし、どこまでも自由人。
その奔放な生き方をなんとなく続けて来た結果、不幸にも親友を失うことになりますけど、彼女にしてみれば、自分の本能に従ったまでなんでしょうね。
男に対しても、結婚対象や純愛対象を探している感じがないのが新鮮で、あくまでも求めているのは行為の相手。
彼女の場合は、肉体が満たされることで、初めて心も満たされる・・という、ちょっと男性的な感覚を持った人なんでしょうか。
そこが、これまでになかったような気のするリアルなアラフォー像なのかな。
だからこそ姉の不幸に我慢ならない
一方の姉はまるで正反対の堅物女。
あっちができない夫にも我慢の日々で、義務感と情に縛られ、ついには自身のキャリアの追及まで諦めようとしている真面目女。
古い倫理観に縛られ、夫の連れ子の大きな息子にまで責任を感じてるような姉を同じ女として見ていられないので、ついつい口を挟みたくなってしまうのでしょう。
なのに、フリーバッグが解放しようとすればするほど、姉は意固地になって今いる鳥かごから羽ばたくのを拒否してしまうのです・・。
だからこそ父の女が憎い
そんな不幸な姉妹がいる一方で、一人で上手くやってるのが父と暮らす代母ですよ。
「いくつになっても求められるなんて女として最高の幸せ~」と豪語し、女として自信に満ちた姿を見せつける。
フリーバッグが一番欲しいものを分かってやってるのが憎たらしい。
さらには、母を忘れたかのような父にも腹が立つし、経済的に助けの必要な自分には見向きもしないでプチブルジョア生活を楽しんでいる。
まぁね~。腹が立つよね~。
それでも自立の道を探す
これしかないんですよね。
最後にふと再会した銀行家のオジサンとの縁がまた人生の妙でしょうね。
そんな出会いに感謝して、歩き続けていくしかないですもんね。
冒した罪を悔いても先には進めないし。
まずは親友ブーの遺志を継ぐという意味でも、モルモットの店を立て直すことからかな・・。
性欲の塊の彼女にも、そういう意識が芽生えれるといいんですが・・。
というわけで、とりあえずシーズン2にも期待したいと思います!
次はシーズン2の感想です。↓

