「ブラック・アース・ライジング」難解だけどサスペンスとしても秀逸!最終話まで見た感想

ブラック・アース・ライジング

Netflixで見た海外ドラマ「ブラックアースライジング」前半はネタバレなしの感想。後半はネタバレありの感想です。

Netflixで配信が始まったイギリスBBC製作の「ブラックアースライジング」を最終話まで見ました。「ルワンダ大虐殺」の隠された真実について取り組んだ衝撃作です。

はぁ、難しかった~・・。

もうね、政治・経済・歴史・社会情勢に疎い私がよくここまで頑張りましたよ。

毎回、聞き慣れない情報が飛び出す度にググって確認。

でも基本的に知的レベルが低いので、やっぱり苦しい~。どうしても理解できない部分はそのまま置き去りにしてなんとか完走しました。

最終回まで見ましたが、結論から言うと政治的な要素を多少拾い損ねたとしても、サスペンスとして人間ドラマとしてよく出来ていたなぁ・・と。

というか、政治的背景をどれだけ理解しているかがドラマを読み解くカギなので、そこをスルーするわけにはいかないんですけどね・・。

(恐らく相当理解が足りてない私なんかには感想記事書く資格がないんですけど、いつもの通り素人主婦の感想ということでお許しください。)

それに、ただでさえ複雑極まりない現実を描くのに、語り口や実際のセリフが難解で哲学的なんですよね~。

もう少し分かりやすく要点を噛み砕いてくれたらよかったんですけど。

でも、第一話を見て冒頭から目が離せなくなったのは、役者達の強烈とも言える力強さ! ぐいぐい突き付ける鋭利な問いかけに、思わず釘付けになってしまったからです。

それに全8話ある中でもほぼ毎回「ゲーム・オブ・スローンズ」並みの衝撃場面(残虐性あり)が待ち受けているし、謎解き要素などもドラマチックに組み込まれているので、どんなに難しくても途中で止められない止まらない~!な圧巻のドラマに仕上がってます。

ただし、ルワンダ虐殺についての直接的なシーンはないので、私でも見れました。

そんな描写はとてもじゃないけど見れないので「ホテル・ルワンダ」や「ルワンダの涙」といった映画も無理なんですが、このドラマには当時のルワンダに関する説明シーンは抽象的にアニメ化するという配慮があったので本当に助かりました。

目次

【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。

また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)

Netflix「ブラック・アース・ライジング」のあらすじ

ルワンダの大量虐殺を生き延び、国際犯罪法の検察官を養母に持つ法律捜査官ケイト。ある戦犯裁判をきっかけに、自らの過去をめぐる陰謀に巻き込まれていき…。

「ブラック・アース・ライジング」登場人物とキャスト

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ルワンダの生き残りで現在はイギリスで法律捜査官をしているケイト

演じるMichaela Coelのパワーと迫力が半端ない!!見る者の心を奪う存在感です。

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国際犯罪法の検察官のイヴ

当時NGOのボランティアとして現地にいた時にケイトを見つけ養子にした。
今回、ルワンダ大虐殺を終わらせた英雄とされる男サイモン・ニヤモヤを起訴することになり、娘ケイトから猛烈な反発を受ける。

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イヴの同僚で、当時同じNGO団体にいたマイケル・エニス

ジョン・グッドマン、メッチャいい味出してます!

究極の倫理的・政治的難題を突き付けられる男を力を抜いて絶妙に演じています。

ケイトとの掛け合いが最高。

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ルワンダ軍幹部だったアリス・ムネゾロは大虐殺の終結に力を注いだ人物。

西洋思想と母国愛がバランスよく成立してる信念の人。

この方も強烈な存在感!

それと、ここにもう一人アメリカの国務省アフリカ局国務次官ユーニスを足した4人の仲間が当時、現地で何かを見てしまったんです。

それが一体何なのか?!ケイトの出生の秘密と絡めてスリリングに展開していきます。

西洋の司法制度と政治的思惑がアフリカ諸国に本当に必要とされているものなのか・・。

真実を暴くことに正義があるのか・・。

投げかけるテーマは重く、深く、複雑です。

字幕でなく吹き替えで見たほうが分かりやすい!

ただでさえ難解なのに、もっと分かりにくくしてるのがNetflixの字幕なんですよ~。

あまりに理解しづらいので、半分くらい見た時点で吹き替えに変えたんですけど、そしたら分かる分かる!!

スッと理解できるようになって、大分楽になりました。(しかも吹き替えの声がオリジナルと似てて素晴らしい!)

例えばですね、吹き替えで「それは法律で定められている」の部分が字幕だと「それは刻まれてる」なんて出るんです。誰が分かるの?

「卵巣をスキャンする」の部分が字幕だと「卵巣を走査する。」になってて、いちいち難解な単語に変えられてました。

ただ、吹き替えだとフランス語と英語の違いに気が付かないという欠点があるんですけどね・・。

この「フランスVSイギリス」というアフリカにおける覇権争いという構図も一つ大事な視点になってくると思うのですが、それはネタバレありの感想で書かせて頂きます。

*これ以降は内容に触れた感想になってます。



「ブラック・アース・ライジング」ネタバレ感想

フランスがボロクソに描かれてるのを仏人夫に聞いてみた

フランス政府は虐殺を行ったフツ続を支援していたと糾弾されてましたけど、本当なんでしょうかね。

その挙句にその罪をルワンダ側に押し付けようとアリスを無実の罪で起訴したり、その裏工作を探ろうとするケイトを諜報員が襲おうとしたり、国ぐるみでかなりの「悪」として描かれてました。

最後の方で、ケイトが墓地を探していたコンゴに駐在していた国連のフランス人兵士もまぁクソ意地悪いキャラですよね。

一方のイギリスは常に公平な立場から司法制度を敬いルワンダ政府と協力する「大人」な描かれ方。

これについて、ちょっと違和感を感じたので我が家の仏人(元歴史講師)に聞いてみました。

「ちょいと、オタクの国はフツ側を支援していたって本当かね?イギリス製作のドラマで糾弾されてるけど。」

すると、答えはこんな感じ。

「自分はルワンダに関しては詳しくないけど、それがそんなに単純な話じゃないことは知ってる。これにはかなり複雑な背景があるんだ。

言わせてもらうけど、あの時現地に実際に乗り込んで平和維持活動をしていたのはフランス軍だけだ。(ベルギー軍もいたようですが・・)他の西洋諸国が逃げ腰で何もしなかった時に、少なくともフランス軍はあの時にあの場所にいた。

ただ、国連から(自衛目的以外の)武器使用を禁じられていたから虐殺を止められなかったんだ。

大体な~、ルワンダは今イギリスのコモンウェルスに加盟してる状態だから、こういうプロパガンダを作り続けて常に自国の正当性をアピールし、フランスを落とそうとするのは当たり前だろ。」

実際wikiで確認すると、かつてベルギー領だった影響で公用語はフランス語が用いられていたものの、2008年に英語が追加され、その翌年の2009年にはイギリス連邦に加盟し、英語圏諸国との関係強化を図った。と書いてあります。

「ふーん、なるほどね。

ちなみにこのドラマは虐殺を止めたツチ族の英雄が国際司法裁判にかけられる話なんだ。西洋の法律でアフリカ人を裁くのが正しいのかどうかというテーマでね。」

「そういうこともあるだろうな。ツチ族だって、別の時期にはフツ族を虐殺してるんだから。」

と・・、まだ見始めた段階でドラマのクライマックスに当たる部分をサクッと言われてしまいました。

でもですね、最終話でマイケルがこんなことを言ってました。

司法長官の奥さんが巨万の富を得ているイギリス拠点の会社クローミンの役員で、その鉱山の安全と安定のためにルワンダのデビッド・ルニフラが長年ガニマラを利用してきたという事実を知った後のセリフ。

「私はガニマラが裁かれることはないと思う。なんだかんだ司法の穴を見つけて不起訴になるんだ。

結局のところイギリスの見方は『あそこでは互いにコロし合う。そういう性質のようだ』と言ったミッテランと同じだから。」

うーん、そうか~~。

フランスを痛烈にこき下ろしながらも、イギリスも所詮は富と国益優先で、利益に相反する正義には興味ない。という結論をひとつ出しちゃってるようです。

それに、恐らくはアフリカ人を見下しているような差別意識がどこかにある・・という指摘も含まれているのでしょうか・・。

多くの人に言われているように、これがどこかの白人国家だったら国連も諸外国もすぐに介入して止めたに違いないってことなんでしょうか。

それを考えるとやり切れませんね・・。

意外な口コミ点数を読み解く

ちなみにこのドラマ、批評家達の評価はかなり高いし、私もドラマとしてのクオリティは素晴らしいと思うのですが、一般人の口コミ指標が分かるIMDbの点数が6.7と驚くほど低いんです。(追記:2019年1月30日時点ではこうでしたが、少しずつ上がってきたようです。)

10点満点をつけた人が22%と一番多いのに対し、最低の1点を付けた人が10%もいるんです。

通常、どんだけ凡庸なドラマでも1点を付ける人は1~3%程だったりするので、アンチな人たちが相当いるのが伺えます。

まぁ、政治に疎い私にはサッパリなところですが、政治的アピールを色々含んだドラマと考えると、内容に賛同できない人たちもいるのかもしれませんね。

一応、夫には見て欲しいと頼んでるんですけどね・・。今「ザ・テラー」を見てるから、その内に・・とのことでした。

はぁ。それにしてもこれほどの黒歴史について考えるのはやっぱり精神的にシンドイ・・。

ありきたりですけど、目先の利益より子供達の明るい未来を優先してもらいたいところですね。

あ、あと最後にひとつだけ!

どうしてマイケルはそんなにモテるの~??一体どの辺がセクシーなの??私にはそこが一番の謎でした・・。

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