「ベター・コール・ソウル」 テーマは中高年の「生きがい」と「脆さ」

「ベター・コール・ソウル」

シーズン4までのネタバレと、最後に本家との絡みについて追記したので、ブレイキング・バッドのネタバレも含みます。

Netflix「ベター・コール・ソウル」シーズン4の最終回も味わい深かったぁ!

凄い山場がある訳でも、派手な展開で惹きつける訳でもないのに、このドラマはなぜこんなに面白いのか・・。

展開はむしろスローで、調子っぱずれなトーンも多い。

キャストはほぼ全員「中高年」で、イケメンもセクシー美女も登場しない・・。

なのに彼らが必死に地味に日々を生き抜く様子を見ているだけで、思わず身を乗り出すほどのめり込んでしまうのです!

非常に高いレベルの知性と機転、ほんの少しの勇気と情。

そんなものを滲ませながら、各々サバイバル合戦を繰り広げ、人生を模索していく様子にたまらない何かを感じてしまいます!

全感想

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目次

【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。

また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)

「ベターコールソウル」このドラマのテーマを考察!

テーマは生きる事のワクワク感と、怖れ

で、シーズン4まで見てきて気が付いたんですけど、このドラマのテーマは「生きがい」と「脆さ」ではないかと・・。

それぞれのキャラにどちらも表裏一体的にある、この二つの側面が絶妙なリアリティを醸し出して描かれるので、私たちもつい共感してしまうのです。

ということで、今回は一人一人のキャラについてこの二つを考察してみたいと思います。

キムの「生きがい」と「欠点」

キムって結局助けが必要なジミーが好きだったのよね。

もちろん、それだけじゃなく自由奔放で一生懸命、愛嬌たっぷりな部分にも惹かれてたでしょうけど、プロボノをやり出した頃から「そっか、彼女は人を助ける事に飢えてるのね・・」と気が付きました。

だって、今や大手銀行との契約をひっさげ大手弁護士事務所で安泰の日々ですよ。

それでも無償で人助けがしたい!「それが自分のやりたいこと」と言い切り、助けの必要な「ちょっとダメな人たち」に手を伸ばしていますよね。

これがキムの「生きがい」であり、同時に「欠点」でもあるんですよね、きっと。

ハワードのように、金が儲かってりゃ順風満帆!と現在の地位に満足していられない。

ダメ男ばかりに惹かれる女性っているらしいですけど、キムもどうやらその手の部類かも・・。

だって、これまでジミーがヘマをしたり、身から出た錆でピンチに陥った時だって、見捨てないどころか毎回嬉々として助けてきましたからね。

そしてジミーが立ち直れば、共に感激の涙を流す・・。この過程が彼女の「生きがい」でもあったのかも。

もちろんそれも愛情の一部なのでしょうが、S4の9話で喧嘩した際「あなたはずっと下にいる」と本音が出てしまったとおり、無意識に彼を「助けの必要な存在」として見ていたことは否定できないのでしょう。

ただ、今やジミーは助けの必要なジミーから「絶好調だぜ~!」の「ソウル・グッドマン」に変身しつつありますからね。

この関係性が終わるのも時間の問題なのでしょうか。

マイクの「生きがい」と「脆さ」

マイクの「脆さ」はやはり息子の死をずっと引きずっているところでしょうか。

互助会に行ったところで何の助けにもならず、無力感と罪悪感に苛まれる日々は続きます。

何も感じないよう駐車場係をして無味乾燥な日々を過ごし、唯一の喜びは息子の残した嫁と孫娘に会うことだったマイク。

彼らの力になることが何よりの喜びでしたが、彼らに資金援助する事を口実に少しずつ危険な仕事に手を出し始めました。

ところがこれが性に合っていたのか、ガスに出会ってからはさらに生き生き仕事に没頭するように。

用意周到なガスの元での仕事は安全で、ヘクター達と対峙していた頃のようなリスクもない。

これまでの経験や技量を生かして大金を得られる日々には久しぶりの「生きがい」を感じているようでした。

この金を孫娘たちの役に立てられるということで、息子への罪滅ぼしにもなるというおまけ付き。

ただ、マイクは冷酷な悪人ではありませんからね。

最終話でヴェルナーを消さないといけない場面では本当に辛そうでした。

元々正義感の強い警察官だった彼が、息子の死という十字架から逃れる為に始めた仕事でさらなる十字架を背負ってしまうことになります。

ここがマイクの正念場・・。

今後どうやってこのジレンマを乗り越え、落としどころを見つけていくのか。

ガスの「生きがい」と「弱点」

ガスの生きがいはもう語るまでもないと思います。

緻密な計画で商売敵を叩きのめし、その頂点に立つこと。揺るがない信念と隙のないリスク管理。

S4での彼はメキシコからの麻薬ルートを独占しただけでなく、地元で作ったヤクを流通させるという新たな計画に乗り出していきます。

こんなガスの弱点は「復讐心に固執し過ぎる」ところでしょうか。

大体ヘクターがそれほどまでに恨みを買う何をしたっていうの?↓

【本家で復習しました】

メキシコ時代にチキンの店でドラッグを売り出した当初、ガスの大事なパートナー(たぶん彼氏)をころしたのが若き日のヘクターでした。

ガスも若い

子供時代のエピソードを語ってましたけど、一度自分が「許さない!」と思った相手には徹底的に復讐しないと気が済まないそうで、ヘクターへのご執心はそれは常軌を逸するほど・・。

ヘクターを死なせず不自由な体に閉じ込めたまま、粘着質な復讐劇を始めるようです。

その復讐劇の様子については「ブレイキング・バッド」でしっかり描かれてますよね。

そしてガスが最後どんな形で死を迎えたのか・・を思い起こせば、この執拗な「復讐心」が彼の最大の弱点であったと言い切っていいかと思います。

ガスを倒したいウォルターが、彼を憎むヘクターの車いすに爆弾を仕込み、ヘクターが起爆させて道連れにしました。

チャックの生きがいと脆さ

チャックの生きがいは弁護士としての名声を手に入れ、その実力を日々発揮すること。

周囲からの称賛を浴びながら自分の地位を確立すること。

そんな完璧主義のチャックの「脆さ」は、やっぱりジミーへの嫉妬心でしょうか。

母の愛を奪った弟。(チャックの残した手紙から分かる)

不出来ではあるものの、ひょうきんで誰からも愛される弟。

一方、自分はあんな風に愛されないし、器用に人生を楽しめない堅物。

そんな弟を、自分の領域に入ってこない分には多少見下しながらも愛することもできた。

ところがある日、チャックにとっては神聖な法律の世界に、あのいい加減な弟が場を荒らしに入ってきた!

生意気にも「弁護士」を騙り、自分と同じ立場になったつもりでいる!

その時からどうにもこうにも弟ジミーが憎々しくてたまらないチャック。

次第に彼は心のバランスを欠いていき、妻が家を出たのをきっかけに不安神経症に悩まされるように・・。

そして、この二人の確執は最終的に修羅場を迎え、その結果、チャックはハワードから事務所を追い出されてしまいます。

自分の全てだった事務所を奪われ、ハワードには名声を傷つけられた。

絶望したチャックは症状が悪化し、死を選ぶまでに追いやられるのでした・・。

ジミーの生きがいと脆さ

最後にジミーですけど、一番読み解くのが難しい男ですよね。

シーズン4に入ってから、もはやジミーなのかソウルなのかよく分からない・・。

私が思うに、ソウルという「なんでも最高さ!」のキャラはジミーにとって傷ついた自分を守る鎧のような人格なのかなぁ・・と。

今回、ジミーは大きく3つの事柄で打ちのめされるほどに傷ついてしまいます。

一つ目はチャックに愛されなかったという事実と彼の死。

「お前のことなんてどうでもよかった」という捨て台詞をチャックに言われてから、その落ち込みようは激しかったですよね。

結局兄には自分の頑張りを認めて貰えなかったし、それどころか愛されてもいなかった・・。

その事実が彼を傷つけ、さらにはチャックを死に追い込んだ罪悪感までしょい込む事態になってしまった。

この時の落ち込みは特に酷く、完全に機能停止状態・・。

悲しみを素直に吐き出せないジミーをキムが心配していました。

ところが、ある日ハワードがやって来て「チャックを追い詰めたのは自分だ」という告白をしてくれます。

ジミーにとってはまさに渡りに船!

重い十字架を丸投げできる相手を見つけ、自分はそそくさ身軽になり、ついでに悲しみも置き去りにすることに。

それでもまだ健気なジミーは幾分か残っており、そんな彼は再び弁護士になり、キムと再び事務所を立ち上げることを夢見てました。

ところがこれも、キムが大手事務所に就職したことで実現不可能に・・。

キムに裏切られた・・と感じ深く傷つきますが、この傷も見ないふりをして踏ん張ってました。

ところが、1年の免停後の面接の段階で審査に落ちます。これが2つ目の傷心。

再び偏見の目にさらされ「自分は所詮前科者(スリッピング・ジミー)。その世間の評価は決して変わらない。だからこそ、のし上って奴らを見返してやる!」と覚悟を決めたジミーは、いよいよソウルへの変身を遂げることになるのです。

キムから言われた「あなたはずっと下にいる」の言葉も決定打になりましたよね。

彼女でさえ、決して自分を認めてはいないのだと・・。この3つ目の傷心で粉々になった「ジミー」は完全に姿を消します。

恐らくは本人にしても、無意識にこの変化を遂げているのでしょう・・。

悲しみや自己否定から逃れる為の「ソウル・グッドマン」という鎧。

本家、「ブレイキング・バッド」で見たソウルの姿はまさにこの時のものですけど、まぁ生き生きしてましたよね。

罪の意識を捨て、人に同情し過ぎず、調子よくやって金を儲ける。

ようやくチャックの呪縛から解放されたソウルは悪徳弁護士として本領を発揮し、楽しく生きがいを感じていたのかな・・。

ジミーという存在が「脆さ」の象徴なら、ソウルはその脆さを排除した人格ですからね。

「ベターコールソウル」この後ソウルはどうなるの??

さて、そこで立ち返ると、私たちはいつもシーズンの冒頭でチラッと目にしている人物がいますよね。

シナモンロール店の店長で、どうも一目を避け、名前を偽り、孤独に暮らしているらしい。

想像するに犯罪を犯した逃亡者のようです。

これ、たぶんソウルではなく、ジミーですよね。

痛々しいほどに怯えている姿はソウルには見えないし、モールで万引きで捕まっていた男を見かけ、「弁護士を立てろ!」とリスクを冒して声をかけていた様子を見ると、以前のジミーが戻ってきたようにも見えます。

まぁ、私の想像ですが・・。

本家「ブレイキング・バッド」のソウルは最後にウォルター共々犯罪者として指名手配される身になるわけですが、あの人消し屋でのソウルはまだピンピン、ギャーギャー言ってましたけどね。

その後、潜伏生活をしながら少しずつ「ソウル」の人格も影を潜めていったのか・・。

という訳で、愛すべき中高年達のシーズン4までをまとめてみました。

あ、そうそうナチョに関しては私も何が「生きがい」で何が「脆さ」なのかちょっと不明でした。

彼はまだ若いし、中高年じゃないから対象外!ってことで今回は失礼します~。

追記:本家からのキャストって誰?フランチェスカとベティカー

当初は製作側が「本家(ブレイキング・バッド)のメインキャストが登場することはない。」というような発言をしてましたけど、シーズン4でいよいよ時系列が近づいてくると気になる事を言ってたんですよね。

「シーズン4にはメインではないけど、本家で重要な役割を果たす人物が登場するよ。」

これが誰だろう・・と思ってずっと見てきたんですけど、ガスやヘクターはずっと出てますもんね。

それ以外で私が気が付いたのはフランチェスカゲイル・ベティカー。

フランチェスカは本家のソウルの事務所で働いてた秘書で、愛嬌がまるでないムッツリキャラ。金だけを目的にソウルのために働いてました。

ところが、前シーズンでキム達に雇われた当初のフランチェスカは普通に愛想のいいデキる秘書なんですよ。

いつ、あんな無表情なオバサンになっちゃったんだろ。彼女の身に何が起きたのかもちょっと気になるところですけど、まぁ彼女はそれほど大事なキャラではないですよね。

となると、ゲイル・ベティカーかな。

国内でブツを製造しようとしたガスが一番初めに目を付けていた製造人で、今それとなくリクルートしてますよね。

そして現在、一生懸命地下のラボを建設中。

一方本家「ブレイキング・バッド」の方では、このラボが完成してから(もしくは完成間際に)ガスがウォルターと出会ってしまうんですね。

結果的にゲイル・ベティカーはウォルターの助手として雇われることに。

ところがウォルターは弟子のジェシーを招き入れたいがために、ゲイルが温度設定を間違えて材料を無駄にした!と言いがかりを付けて首にしてしまいます。

でも、最終的にウォルターの正体がバレるきっかけたとなった本がこのゲイルからの贈り物で、そこには「敬愛するWWへ・・」というメッセージが入ってました。

それを偶然見かけたハンクに気が付かれてしまったわけです。

となれば、確かに「重要な役割」を果たしたキャラと言えるのかな・・。

シーズン5はさらに本家に時間軸があってくるでしょうから、ついに馴染みのあの人たちも出てくるのかな・・。

出ない、出ない、と言いながら脇キャラは確実に姿を現している感がありますので、自ずと期待しちゃいますよね。

何にしても楽しみだわ~!

次はシーズン5の感想です。↓

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