アニスの今日の海外ドラマ

海外ドラマ25年、国際結婚15年のワーキングマザーです。Netflix、Hulu、アマゾンを中心に感想・考察書いてます。

HBOドラマ「KIZU-傷-」最終回、第8話の衝撃ラストを徹底考察!!(ネタバレなし&あり感想)

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HBOドラマ「KIZU-傷-」を最終8話まで見たアニスの感想・考察・解説です。

*冒頭はネタバレなしの感想と予告編、注意書き以降はネタバレ全開で徹底考察しています。

なるほど~。

こういうことか~・・!

 

まさに、「心のどこかで分かっていたのに、まさかそうとは気が付かなかった・・!」

やられた~!!!!

な衝撃ラスト!!

 

全体的にスローペースで進んできたこの物語・・。

荒廃した田舎町に生きる人々の閉塞感、意味不明な言葉遊びや、謎めいたフラッシュバック・・。

残酷で絶望的な雰囲気たっぷりにストーリーは進んでいきますが、一体どこに連れていこうとしているのか予測がつかないというか、肝心の事件の進展はさっぱりなんですよね。(刑事たち何やってるの?ってくらい・・)

 

ただただ主人公カミールの心と体に刻まれた過去の傷について、丁寧に丁寧に説明され、

そしてトラウマを乗り越えるためとはいえ、向き合う価値も感じさせない病的な家族の中に溺れ、残された自分さえも失いそうになっていくカミールの危機を描写しているものかと思っていたのですが、

実は同時進行で「隠された別の物語」の方もしっかり語られていた・・という訳でした。

 

未見の方に、このドラマの注目点を簡単にご説明

エイミー・アダムズ主演で、その他にも有名映画女優達が脇を固め、原作は「ゴーン・ガール」のギリアン・フリン。

注目要素がぎっしり詰まったHBOが贈る自信作で、来年の賞レースにもグイっと首を突っ込んでくる事間違いない重厚感のある作品になってます。

1話目から容赦ない残忍さと絶望感を醸し出し、こちらに「覚悟せ~よ」なるメッセージを送り続けてくるのですが、この欝々とした世界観に負けないようしっかり目を開いて見る価値のあるドラマでした。

 

今現在、アマゾンの有料チャンネルStarEXでの全話配信が始まった所ですので、あと数か月~半年後(?1年はないと思うけど・・)までにはアマゾンプライムの見放題コンテンツに仲間入りすることになるかと思います。

心にズキンと突き刺さる、とにかく痛い衝撃作です。

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*ここから先はネタバレで、感想&徹底考察書いてますのでご注意ください。

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アンとナタリーを殺したのは彼女だった!!

最後にカミールがドールハウスに人間の歯が敷かれた部屋を発見し、アマが少女二人を殺害した犯人だったと気が付きましたよね。

「ママには言わないで」と言っていたので、アドーラは知らなかったでしょうかね・・。

気が付いていた気もしますが・・。

 

そして、レッド・ツェッペリンの激しいエンドクレジットの後にもう一度入るフラッシュバックの短いシーンで、さらなる衝撃的事実が・・!

(こういうシーンの入れ方、絶対見逃すからやめて欲しいわ~!皆さん気が付きました?)

 

メエも殺していた!!

メエのお母さんが、「二人が喧嘩したらしい。娘が戻ってこない。」と心配してましたけど、既にメエは殺されてしまっていたようです。

爪に赤いネイルがされてましたね。(食事会の時には塗ってなかった)

これはナタリーの兄のジョンが、「妹の死体の爪にネイルをされていた。」と証言していたのと同じだと思います。

 

恐らくはアマ自身の殺害動機としては、子供っぽい小さな喧嘩が原因だったりするんでしょうね。

今回アマは「カミールのように記者になるのが夢」と語っていた優等生的なメエにカチンと来たようですけど、いずれにしても大した理由はなく、抑えの利かない幼稚な衝動によるものだったと思います。

そして、もう一つの理由はドールハウスに象牙の床を再現するための人間の歯。

アマはこのドールハウスにやけに思い入れがある様子で、母親に取り上げられそうになると毒を飲むのも承諾するほどでしたからね・・。

 

少女性を表すドールハウスですが、自分の殺す(した?)少女たちにネイルを施し、ナタリーの死体もまるでお人形のように窓辺に置かれていましたよね。

そんな部分にも、残忍な衝動の裏側にある夢見がちな少女のメンタリティを投影してるんでしょうか・・。

 

共犯はローラーガールズ!!

そしてもう一つ驚いたのがアマの犯行に共犯者がいたこと。ローラーガールズの2人の顔もチラッと映っていました。

彼女達が押さえつけて、アマが首を絞めているように見えましたね。

歯を抜くことに関しては、もしかしたら少年たちも利用していたのかも。

酔っぱらったアマがカミールに「男の子達はやらせてあげれば何でも言うことを聞くけど、女友達はそうはいかない。私を嫌ってる」と本音を漏らすシーンがありましたけど、無意識にいつか女友達に裏切られる不安を感じてたのかな。

 

それとナタリーの死体を窓辺に運ぶのも、男手がないと難しそうですしね。

ちなみに、あの死体発見の時もローラーガールズはすぐそばにいましたしね。

遊び感覚であそこに置いて、発見されるのを待っていたんでしょうか・・。

 

養豚場でアマは何をやってた??

私これを見た時からすごい気になってたんですけど、この時にアマが犯人だって気が付いても良かったくらいですよね。

養豚場に一人で行って、メキシコ人労働者から小さな子ブタをもらい、彼と一緒に外に出て行くところをカミールが目撃してました。

あの豚、飼うの?食べるの?なんて思ってましたけど、もしかしたらメキシコ人労働者に歯を抜かせてたのかな・・。(推測ですけど)

刑事のリチャードが試しに豚の歯を抜くシーンがありましたけど、子豚だったらもう少し簡単に抜けそうだし、大きさも丁度いいのかも・・。(あれくらいの子豚に歯があるのかは知らんけど。)

 

祭りの劇の後に逃亡したのは・・

あのシーンを見返すと、アマが余裕の面持ちで出し物を終えたところで突然アンの父親が犯人と疑われてるジョンに襲い掛かり、それを見ていたアマが突然真っ青になって後ろに逃げ出してるんですよね。

あの時、ドラッグをやって意識が普通でない部分もありましたから、とっさにアンを殺した自分も襲われる!という恐怖を感じ逃げ出したのかもしれません。

 

白い衣装の女はアマだった

ヤク中の母親に育てられてる男の子(誰か保護してあげて~!)が目撃したと証言した白い服の女ですけど、たぶんアマだったんですよね。

最終8話の冒頭で、ずっとアマは白いネグリジェ姿で頭に花冠を付け、「私は死者の国の王妃よ。」とおとぎ話の中の人物に成り切って話してましたよね。

アンやナタリーを殺した時も同じような白い衣装で、この人物に成り切っていたんでしょうかね。

母親のアドーラが娘たちを看病する(毒を盛る)際に必ず白いネグリジェを着せるというこだわりがありましたけど、アマは毎回その苦しみの中で、この想像のおとぎ話の世界に逃げることで自分を守っていたのでしょうか・・。

可哀そうにね・・。

結果的に、あんなモンスターに成り果ててしまうと同情もしづらいけど、カミールが自分を傷つけずにはいられなかったのと同じ理由で、アマも苦しみを何かにぶつけずにはいられなかったのよね。

愛する母親から延々毒を盛られる訳ですから、普通の精神状態ではいられなかったでしょうし。

 

アマの二面性

あの狂った母親と、現実逃避するだけの父親に育てられ、虐待を受けながら育ってきたアマが普通にいられる訳ないのは、カミールの傷を見れば私達にだって充分理解できますよね。

ただ、その苦しみがどんなふうに爆発し発現したのかは大分カミールと違ってました。

彼女には子供っぽく甘えたがる欲求がある一方、驚くような征服欲、支配欲があるのを感じさせますよね。

 

例えば、カミールに対してのアプローチも独特で、下手に出て甘えるのかと思いきや、高圧的で暴力的な側面も臆することなく出してきます。

髪に飴を付けたり、暴力的に押し倒したり。

挙句の果てには、カミールが自分の思い通りに手中に収まっている状態を感じると、「カミールを食べちゃいたいくらい幸せよ。」と、独特の表現で姉を引かせてましたね。

自分が神話の神になったかのように、思い通りに動かせるドールハウスも彼女の征服欲を表してるんでしょうか・・・。

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AmmaはMamaの言葉遊び

これはアメリカのサイトに書いてあったことなんですけど、確かに似てますよね。

「言葉」に異常なこだわりをもって描かれてきたこのドラマですからね、これも当然狙ってのことでしょう。

つまるところ、アマも母親の虐待と異常性によって生み出された副産物であった訳ですからね・・。

(同時に純粋な被害者でもあるんですけどね・・。)

 

アランは何者?どこまで知ってたの?

このアランという男・・。現実逃避にレコードを聴きまくってるのは分かりましたけど、薄気味悪いくらい何を考えてるのか分かりませんでした。

妻に魅了され、妻が娘に毒を持っていても何もできないのが歯がゆくて、自分の手を噛んだりしてたんでしょうか・・。

セックスレスらしいし、何であんな女がいいんだろう・・。

アマを熱心に看病してる妻を横目で見ながら、幼いアマと一緒にダンスしたり・・という幸せなシーンを回想する場面がありましたよね。

それでペーパーナイフを手に取っていたので、助けに行くのかと思いきや、全然違ってましたけどね・・。

それができるくらいの男なら、一人目の娘の時だって助けてるでしょうしね。

 

その癖、いっちょ前にカミールに対しては「君のせいで妻が病気だ。もう出てってくれ!」なんてことを強気で言うんですからね。

でも今思えば、事件を嗅ぎまわるカミールを追い出すことで、妻や娘を守ろうとしたのかな・・。

アマのしでかした事も知っていた可能性があるしね。それこそ歯を抜いたのがアランという可能性もあるわけだし。

 

養豚場の従業員に嘘の証言をさせたのは

「ジョンがアンの自転車を川に捨てるのを見た」という嘘の証言をさせるということは、養豚場の経営者であるアランやアドーラならば可能ですよね。

ここまで積極的にジョンを犯人にして事件の幕を下ろさせようとするのは、自分の娘のしたことを知っていて、守ろうとしたからと考えるのがやっぱり自然でしょうかね。

 

立ち直っていたカミールに与える衝撃とは・・

あれほど浴びるように酒を飲んでいたカミールですけど、セントルイスに妹と暮らし始めてからの生活を見ると、一切酒を断ち、ミルクを入れたコーヒーなんかを飲んでましたよね。

トラウマを乗り越えつつあるようなレポートも書き、表情も明るく前を向いているように見えました。

 

ところが、自分が救ったと思い込んでいた妹が恐ろしい殺人鬼だったという事実を突きつけられることに・・。

 

結局はアマも母親に木っ端みじんに壊された子供で、救助するには遅すぎてしまった。

さらなる後悔に襲われそうですが、どうかその責任を自分で背負い込まないで欲しいですね。

病的な母親が3人の娘たちを産み育て、結局その虐待から逃れて生還できたのは体中に傷を切り刻んだカミールだけだったって、なんて残酷な話なんだろ・・。

 

「代理ミュンヒハウゼン症候群」について

これは映画「シックスセンス」で有名になりましたよね。

やっぱり周囲の注目を浴びたい母親が、洗剤だかを娘に飲ませて甲斐甲斐しく看病を続け、最後には殺してしまったという救いのない話でした・・。

あんなことをする母親がいるものか・・!と当時は驚きましたけど、wikiを見ると意外に多く存在する心の病気のようで、まったく恐ろしい話です。

 

自傷行為についても、自分を傷つけることで周囲の注目を浴びたいという欲求がある場合も一部あるそうですが、そちらの方は「ミュンヒハウゼン症候群」で、子供を替わりに痛めつける方が「代理」となるようです。

よって、元々「ミュンヒハウゼン症候群」だった女性が子供を持った後に「代理ミュンヒハウゼン症候群」に移行してしまうケースもあるそう。

 

ただ、自傷行為に関してはカミールのように「可哀そうな子として」周囲の注目を浴びることが目的ではなく、「肉体の痛みを感じることで心の痛みを忘れることができる・・」または、「悲しみや怒り、孤独などの強烈な苦しみから自分を傷つけるという衝動を抑えられずにしてしまう・・」など、人によって様々な理由があるようですので一概に自傷行為について語るのは避けたほうがいいようです。

 

名演あってこそ成り立った「傷」と「痛み」についてのドラマ

アドーラを演じたパトリシア・クラークソンが恐ろしかった~・・!

毒を熱心にすり潰し、魔女のように鍋でぐつぐつ・・してたかは忘れましたけど、あのシーンがハマり過ぎてて怖かったぁ。

苦しむ子供を看病する自分に酔いしれる母、母に看病されることで偽の安心を得る娘。

この依存関係を続けながらも確実に蓄積されるのは、子供に残る深い傷と恐怖・・。

 

想像を絶する状況から逃れようと、独自に創造した世界で死者の女神になったアマ。彼女を演じたエリザ・スカンレンも素晴らしかった!!

母親のお気に入りの服を着せられたお人形のようなアマと、ローラーガールズとなって夜に繰り出してる不良少女アマは完全に別人でしたからね。

それに、首を絞めてる時のあの恐ろしい顔・・!

どこまでが母親の虐待による可哀そうな子供か、どこまでが本来の姿なのか・・、線引きするのも難しいケースですよね。

母親のアドーラは刑務所に入っていたので、精神疾患があっても責任能力はあったと判断されたようですけど、彼女の場合はどうなんだろ・・。

 

それから、もちろんカミーユを演じたエイミー・アダムズも大女優ぶりを発揮してくれました!

アル中らしい微妙に締まりのない体を惜しげもなく晒し、体当たりで心の歪みに苦しむ女性のセックス、不器用な恋、同じ傷を負う者との癒し、妹を守るための勇気、と言ったものを表現してくれました。

 

ただ実は私、もっと違う話を期待してたんです。

娘を失い傷ついた母親との和解を探りながらも結局は現実に向き合う事で過去を受け入れ、最終的には自分の道を歩んでいく覚悟を決める・・という、カミーユの感動的な話になるのかと思ってたんですけど(まぁこれも間違ってはいなかったけど。)、メインの物語がとんでもない方向に舵が切られていったので愕然としました。

 

「お前を愛したことがない」とアドーラがカミーユに言った辺りから、「あ、これは普通の親子の物語じゃないわ」と気が付きましたけど、まぁその後が突拍子もなくスゴかったですね。

「代理ミュンヒハウゼン症候群」が出てきた時には、

あれま、これかいな!なんか使い古されたパターンだけど、そっちに行っちゃう??

という感じで実は拍子抜けだったんですけど、その後のカミーユが自分を犠牲にする形で妹の救出を試み、それが同時に過去に亡くした妹への贖罪的な行為にもなったことで、自身をも救済しトラウマを乗り越える・・という部分などは感動的でしたね。

 

そしてさらに、最後のオチ(アマが殺人犯)が出てきたことで、

これまでの8話の見方を全て覆すような仕掛けが暴露され、物語に隠されていた幾重にも重なった悲劇が浮き彫りにされたのでした・・。

 

エイミー・アダムズが「これまでドラマには興味がなかったけど、この役柄に惹かれて今回引き受けた。」というのも納得の、痛みと傷についての衝撃的なドラマでした。