アニスです。
hulu の「ロング・ロード・ホーム」全8話と「ロング・ロード・ホーム 真実のヒーロー」(原作者が紹介するドキュメンタリー)を見ました。
はぁ、本当に辛かったですね、これは。
私なんぞに何も感想なんて書けませんて・・。と言いつつ長々書きましたが・・。
それぞれの人物について、その後の事なども絡めてまとめてみました。
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ドキュメンタリーも必見!
ただ、このドラマを見た方はぜひドキュメンタリーの方もお勧めしたいです!
ドラマに描かれた兵士たちが実際に登場し、当時の物語と、その後の現在に至るまでの物語を語ってくれますが、これがまた重くて、重くて・・。ドラマ以上に号泣でした。
このドキュメンタリーを見ると、原作者のマーサ・ラダッツが10年以上に渡って兵士やその家族達を取材し、何度となくイラクを訪れ、少しずつ深めて行った絆があってこそ書くことができた物語なのだなぁ・・ということがわかります。
傷ついた兵士たちは簡単には口を開かないし、仲間を失った男たちは特に罪悪感とトラウマに長年苦しめられ、心を開いたマーサにさえ当時の様子を話すのが辛そうでした。
内容的にはかなりドラマと連動しているし、描かれた内容が細部まで事実に基づいていたというのが分かりますので、ドラマの第9話としてぜひ見ていただきたいです。
この感想ではそのドキュメンタリーの内容にもガッチリ触れてますのでご注意ください。
ミルテンバーガーの物語
上官にも関わらず、安全な装甲車ではなく、危険なオープントラックに部下たちと乗り込んだミルテンバーガー。
以前からトラウマを引きずる彼は今回のイラク派遣が決まった段階から自らの死を覚悟し、妻に遺書を残していたが、皮肉にも部下を3名以上救った功績により銀星賞を授与されることに。
ただ、その後の人生はすごく辛そうでした。
早々に退役して家族と暮らしているようでしたが、マーサと話している様子を見ても覇気がなくて表情も乏しい・・。
そんな彼が、あの日トラックで撃たれて半身不随になったヤングと再会するのですが、その様子はもう見ているだけで胸が締め付けられます。
嘘をついたことで罪悪感に苦しみ、ヤングに撃たれると思っていた・・と言うミルテンバーガーの背負うものは想像を絶する苦痛のようでした。
こうした彼の人柄をドラマの方にも上手く取り込み、見事に描いていましたよね。
一見謎めいていて、「常に最悪を考える」という悲観的な死生観を持つミルテンバーガーが、ラストあの絶望的な場面で武器を持ったイラク人と出会い、死を覚悟した後に予想もしなかった結末に遭遇します。
そしてイラク人たちの協力を得て帰還したことを、「希望を感じる出来事だった」と語っているのがなんともすごいですね。
ドラマの山場の一つになっていました。
それからさらに数年後、ドキュメンタリーの最後の方で撮影用の野外セットでアドバイスをする彼の表情が別人のように生き生きしているのに驚きました。
マーサにも、「周りの助けを得て、話をしていくことで少しずつ荷が軽くなっている」と語っていましたね。よかった・・。
それにしても、あれだけ壮絶な戦場から生還して家族の元に戻ったというのに、ハリケーンで家が飛ばされる・・ってなんて不運なの・・。
ヤングの物語
このドラマで一番見ていて辛かったのがヤングです。
撃たれて体の感覚を失い、生還した後にも想像を絶する戦いが待っていた彼は、新たに生きる目的を見つけ各地で反戦を訴え続けましたが、その後34歳の若さで亡くなりました。
ドラマで一緒だったブリーとは別れたようですが、クラウディアという新しい奥さんもいましたね。
ドキュメンタリーの最後にドラマにも出ていたお母さんが、息子がヒーローと呼んでいたミルテンバーガーと会うシーンがあるのですが、抱き合う2人を見ながら涙腺崩壊でした・・。
演じたノエル・フィッシャーはどこかで見たなぁ・・と思っていましたが、「ザ・パシフィック」(こちらも戦争もの)にも出ていたそう。
透明感のある儚い雰囲気が、絶望的な物語の中で何とも言えない切なさを感じさせますね。
デノミーの物語
ドラマの中でもひたすらカッコよかったデノミー(いくつもの銃創を負いながらも最後まで救出を諦めなかった)は、その後の物語でもカッコよかったですね。
その後大尉にまでなり、現在はペンタゴンで武器開発に携わっているとのことで、そういう意味では一番順風満帆な軍人生活を送っているように見えました。
ドラマの中で妻のジーナが、イラクに旅立つトロイに関し「一番怖いのは彼が変わってしまうこと・・」と話していましたが、ドキュメンタリーでは「彼はトロイとして帰って来たわ」と話していたのが印象的でした。
本人は「ブラックサンデー以降は変わった」と話していましたが、息子2人もすくすく成長し、幸せな家庭を築いている様子。
原作者のマーサの言葉にもありましたが、「同じ経験をしても、あまり変わらない人もいれば、大きく変わって苦しむ人もいる。」というのがわかりますね。
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アグエロの物語
ドラマの中のアグエロはひたすら部下を守るために責任を果たしていく力強い上官でした。
それにしても、救出部隊が路地を見つけることができずに、ことごとく救出地点を通り過ぎてしまう中で、最後は懐中電灯片手に飛び出して戦車を追いかけるなんて・・想像以上に劇的な結末でしたね。
あれだけ座標を確認するために、ヘリを飛ばしたり、とっさの判断で火を焚いたりと手を尽くしていましたが、結局最後は彼一人の勇気がものを言いました。
正直、あのラストはドラマ用に加えた脚色かなぁ・・とも思いましたけど、ドキュメンタリーの方で、本当に「アグエロが懐中電灯持って追いかけた」という話があって驚きました。
しかも本当に手りゅう弾を浴びてるし、ヘルメットに撃ち込まれてるし、まさに奇跡の男!
いまだに海外を飛び回り従軍しているアグエロですが、ずっと退役を希望していながらまだ派遣されていると嘆いていましたね。
2018年に退役予定とのことですので、家族とゆっくり過ごして欲しいです。
それにしても、アグエロ本人とドラマの俳優さん雰囲気似てた!(メガネだけかな?)
ブールキンの物語
子供の頃から壮絶な人生を辿ってきた彼は、それ故に警戒心が強く、通訳のジャシムに対しても厳しい態度を取っていましたが、最後には信頼の絆で結ばれたようでした。
同室だったチャンを亡くしたことを一番悔やんでいるようにも見えましたが、今は家族と幸せに暮らしているそうです。
その他にも
まだ他にもたくさんの男たちの物語が描かれていましたが、書き入れないのでこの辺で。
とにかく辛かったのが親友同士で夢を語りながら亡くなってしまった ガルザとアルシアガ・・。ガルザに至っては夢で家族と再会するシーンを描きながら、結局は再会を果たすことなく逝ってしまいました。
なんて残酷な描写なの?!とも思いましたけど、妻ルピタに「もし死んでしまったら夢で会おう」と本人が出発前に語っていたので、彼の願いを再現した形になっていたようです。
それと一番びっくりしたのが、派遣5日目で想像を絶するブラックサンデーを生き延びた隊員たちが心身ともにボロボロになっているというのに、まだ帰国できないどころかさらなる戦闘があの後80日続いたという事実です!
犠牲者はなんと160人にも及んだそうで、その一人一人とその家族たちにこんな悲しい物語があるのかと思うとやり切れませんね。
この平和な世界(と少なくとも私たち日本人は思いがち)で米軍に入隊するということが、こうした可能性を意味するという事実に私はショックを受けました。
私たちが当たり前のように日本で平和を享受する一方で、世界の各地ではこれほどの危険に身をさらしながらも必死に守ろうする人たちがいる現実をこれからも心に留めておきたいと思います。