アニスの今日の海外ドラマ

海外ドラマ20年、国際結婚10年の働く40女です。Netflix、Hulu、アマゾンを中心に感想・考察書いてます。

「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」傑作!悲しくて美しい最終10話の感想・解説 (ネタバレ)

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はぁ・・。見終わりましたけどスゴいパワーを持ったドラマでしたね。

色んな感情が押し寄せて、見ているだけで圧倒されそうでした。

 

面白かった!!!素晴らしい!!

 

2018年のベスト5に入るドラマだったと言っていいかと思います!

来年のエミー賞にも絡んでいけそうで楽しみですね。

お見事!!ネットフリックスがまたやったど~!!

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「死」の2面性のコントラストが鮮やか

このドラマでは人間が本質的に感じる恐怖の神髄を正面から捉え、様々な形で突いてきましたけど、やはり一番恐ろしかったのは「死」の描写ですね。

首の折れたネルが「暗闇の中で孤独。誰も私に気付いてくれない」と訴えるのがあまりに残酷で辛かったし、彼女に触れたテオが感じた絶対的な「無」、そして「無感覚」という表現がまた恐ろしかった・・。

「寒い暗闇で何も感じないままに永遠に彷徨う・・」という死への究極の恐怖を見せつけておいて、一方で最後に待っているのはあの美しいラストですよ。

 

頑丈な壁に守られたヒルハウスの中で、永遠に愛する者たちと在り続ける魂。

ずっと安全に、美しいままの姿で一緒に歩む・・という、あの見せ方。あの余韻・・!

「死」の絶望的なまでに残酷な描写があったが故に、この美しい「死」の在り方には感動し、心が揺さぶられてしまう訳ですよね。

 

では、最終話で実際何が説明されたのかを振り返っていきましょう。

 

やめて~!アビゲイルは幽霊じゃなかった!!!

これですよね。一番衝撃的だったのは。

幽霊屋敷で末っ子が見る想像上の友達アビゲイルは、なんと森の先に住んでいたダドリー夫妻の娘でした!

生きてるように見えていた人物が実は死んでいた・・というどんでん返しはよくありますが、その反対は初めてかも。

ポピーの娘が喉に詰まらせて・・云々の話しがあったので、すっかりその子の事かと騙されてしまいましたよね。

 

なのでオリビアに毒を飲まされて死んでしまった時も、幽霊だからと大して心配してなかった訳ですが、これが全くの誤解で普通の女の子だったなんて・・!

ルークに泊まりに来るよう言われ、一人で家を抜け出して来ていたんですね。

 

でも、彼女を発見した時のダドリー夫妻の理解の速さはすごかったですね。

この家の仕業と瞬時に受け入れ、オリビアを責める様子もありませんでした。

さらに、「この家を燃やさないで、娘に会えるのはここだけなのだから・・」とヒューを説得し、「このことは誰にも言わない。」と娘の死も永遠に隠していく覚悟のようでした。

悲しい・・。もう、最終回の中ではヒューの死が完全に薄れるほどに悲しかったですね。

 

でも振り返ればネルが屋敷で踊っているシーンで幽霊たちが並んでいる中にもアビゲイルちゃんいませんでしたもんね。

ルークはずっと本当のことを言ってたのに、両親が信じてくれなかったんですよね。

クララの娘が双子と同い年という話の中で、あれ?もしや・・と一瞬思いましたけど、彼女の髪がブロンドなのもダドリー夫妻に繋がりにくかったですね。

(その辺の絶妙な仕掛けにやられました。ちなみに子供の頃ブロンドで大人になると色が濃くなるというのはラテン系だと割と多いようで、うちの仏人夫も子供の頃ブロンドで今は完全に黒に白髪交じりです)

 

あの夜の真相は!?

幼い双子を殺すために殺鼠剤を飲ませようとしたオリビアは、たまたま居合わせたアビゲイルを殺してしまいます。

そこへ慌ててやってきたヒューは妻のしようとしていたことを理解し、子供達を連れてモーテルに逃げます。そして、すぐ屋敷に引き返すヒュー。

でも時すでに遅し・・、彼が発見したのはポピーに惑わされて飛び降り自殺をしたオリビアの姿でした。

そして、そこへ娘を探しにダドリー夫妻がやってくるわけですね。

 

その後、警察に事情聴取されている時、刑事に「オリビアを発見してから通報するまで、3時間も何していた?」と聞かれていましたが、こんなやり取りをダドリー夫妻として、幽霊たちのことを隠蔽し、子供達を守ろうと決断したりと、心の準備をする時間が必要だったのでしょうね。

死んだオリビアの体から彼女の魂が抜けだすのを見て、ヒューはその後もずっと自分の隣に彼女を感じ、会話さえしてきた訳ですけど、オリビア本人が言うには「それはあなた自身で、私じゃなかった」らしいです。

ヒューにとっても心のバランスを失わず生き抜く為には想像上の妻が必要だったのでしょう。

 

ただ、なんで子供達を育てずに彼らの叔母に預けたのが不思議ですよね。

だって「子供達がいなければ自分もその場で死んでいた」と言うくらいなら、自分が育てればいいのに。

別に警察に捕まったわけでもなさそうでしたよね。

ヒューも不思議君でよくわかりませんね。

(ただ、役者2人は控えめな演技で最後まで子供達を立てましたね!これ以上の平凡夫はいないでしょう。特殊メイクを使わず、2人で演じ分けたのも大正解でした!!)

 

閉じ込められた兄弟たちが見たものは?

結局クレイン一家は全員あのヒルハウスに呼び戻され、兄弟たちは赤の部屋に閉じ込められてしまいます。

殺鼠剤を打たれ瀕死のルークは幻想の中で、赤い部屋でティーパーティをしているネルや母親、アビゲイル達の所へ迷い込みます。

ルークを見て嬉しそうな母親に対し、ネルは「行って!」と追い返そうとします。

直感的に「死」を感じたルークはネルに後押しされる形で、「死にたくない!」と生の世界に戻ることができました。

 

この時同じように幻想を見せられていたシャーリーは過去に不倫した時の記憶がよみがえりますが、正直このエピソードに関してはちょっと拍子抜けでしたね。

テオが「しっかり者だと思い込んでる姉さんを、私が守ってきたのよ!」と言っていたので、彼女に関してはもっと衝撃的な過去があるのかと思ってました・・。

 

テオに関しても同様で、特に秘密の過去もなく、彼女の問題である「人と深く関われない」という部分を垣間見せた映像でしたね。

入れ墨女(彼女の顔が怖いのよ~)さんとの関係に大分心が揺れているようでした。

 

長男スティーブンが見たのは、妻と本の続編について語っている幻想。

妻は妊娠していて、自分は今回の事を本にしようとしているのですが、彼女から指摘される自分の弱さ、問題がかなり真相を突いていて衝撃を受けている様子でした。

 

そんな兄弟たちに、死んだネルが説明します。

この家の赤の部屋が実は自分達がそれぞれに幻想を見せられ、遊んできた場所であったこと。

この部屋はヒルハウスの心臓ではなく胃であって、自分達は形を変えて咀嚼されていたことを語ります。

 

息を吹き返したルークに寄り添う兄弟たち。

ただ、彼らは赤の部屋の固いドアに閉じ込められ、外にでることができません!そんな子供達を救ったのは、ようやく見せ場がやってきた父ヒューでした。

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ヒューの命を懸けた交渉

オリビアは子供達を永遠に閉じ込めようと譲ろうとしません。

ここならば安全だし、悪いことは起こらない・・。

ヒューは「でもいいことも起こらない。どうか彼らを外の世界に解放してくれ。そうしてくれたら、自分がここに残る」と言い聞かせます。

 

そしてドアが開き、子供達は全員外へ・・。

でも、ヒューはスティーブンと一緒に少しここに残ると言います。

彼には最後に長男に語るべきことが残されていました。

 

全てを目撃するスティーブン

あの夜に何が起きたかを目撃したスティーブンは、ついに全てを理解します。

そして父ヒューの死体を発見し、今話している父が既に死んでいるということも。

(ヒューは心臓発作で死んだようでした。)

父は自分達を守るために、全てを孤独に背負って生きてきたことを知り、自分が何も分かっていなかったことを恥じるのでした。

 

その後の彼らは・・

最後にチラッと幸せそうな兄弟たちの姿が映ってましたね。

ルークが2年クリーンでいたことをお祝いしている様子です。

あ~よかった、ルーク!

ネルとの別れは辛かったけど、その分彼女にチャンスをもらって第二の人生をスタートすることができました!

 

スティーブンは妻と和解し、妻は妊娠してましたね。(ってことは、精子提供を受けて人工授精か体外受精をしたんでしょうね。)

 

シャーリーは夫に過去の過ちを告白し、「あなたを愛してる」としっかり自分の気持ちを伝えていました。

 

そして、テオは入れ墨女としっかり向き合い、一緒に暮らすことを選んだようでした。

もう、以前のように手を触れることで人の恐怖を感じることもないのか、手袋はゴミ箱へ・・。

身軽になった彼女の人生も再スタートです!

 

美しく悲しい余韻へ・・、衝撃のラスト

白髪で登場したのはあのダドリー夫妻。

瀕死の妻クララを運びながら森を抜けてきたようでした。娘たちのいるヒルハウスで死なせるために・・。

ここで死ねば永遠に魂は残り、愛するものと一緒に歩んでいける。

そしてクララが死ぬと、夫はそこに若き日の妻と永遠に年を取らない娘たちの姿を見ます。

幸せそうに身を寄せ合うシーンがなんとも美しく儚い・・。

きっと、彼もこの場所で死んで家族の元に帰るのでしょうね。

 

意外な方向で最高のラストを作り上げた

そっか~・・。

ホラー初心者の私は完全に家と戦って、破壊するものかと思ってましたけど、そんな単純なものじゃなかったですね。

「死」というのは、否定して破壊すれば消えてなくなるものではないし、ずっとそこに美しく佇む「死」があってもいいじゃないか・・という優しい終わり方でした。

 

特殊な力を持つテオが何かやってくれるかと期待してましたけど、彼女は絶望的な方の「死」を語るという役割を担っていただけでしたね。

でもそこで、圧倒されんばかりの恐怖を表現してくれたのが素晴らしかったです。

 

ヒルハウスの幽霊たちも大した見せ場はなく、はっきり説明されたのはポピーが狂った悪人で人間を餌食にしようとしてるってことくらいでしたね。

その他にも狂気に侵された人たちの説明がありましたけど、よく分からなかったかも。

どうやらそこは大事じゃないようでしたね。

むしろ、あの家という特殊な存在が全ての悲劇を招いたようですしね。

それに、家にガソリン撒いて火をつけても燃えないんじゃ、そもそも戦いようがないしなぁ・・。

永遠にあの場所にあり続けるのでしょうね。多くの魂を呑み込みながら。

 

という訳で、本当に怖かったけど、怖いだけじゃなくて感動もあり、弱さに向き合う勇気と、トラウマを乗り越えた兄弟たちの愛の物語でもありました。

はぁ、面白かった!

見る人によっては死生観を変えるほどの力を持つ、強烈で素晴らしいドラマでした。